インスタレーション、パフォーマンス、作曲、サウンドデザインなど
Voice Landscape Series (2009- )
録音した作家の声を「音響身体」として、体を拡張するプロジェクト。虫の音や動き、水や風の囁き等といった有機物・無機物の「存在」へと声を変換し、環境と循環・呼応する独自の表現方法を開拓。2010年に関連作品「Transform my voice」が東京都現代美術館に展示され、現在までに7作品を制作しドイツ、イタリア、フランス、カナダ、日本など各国の自然環境を中心に展開しています。
2014年、フランス最大のデジタルアートビエンナーレ「Bains Numériques 8」にて批評家賞を受賞。
Growing Verse No.1 (2007 / 2016- )
鑑賞者の動作によりリアルタイムに音を生成・演奏するインタラクティブ・サウンドシステム。2016年のフェスティバル「Bains Numériques 9」(フランス)にて、光・動き・間を作曲プログラムに応用したインスタレーションとして第1版が初展示されました。同年、世界10大サウンドフェスティバルの1つに数えられるポルトガルの「SEMIBREVE - EDIGMA AWARDS」にて最高賞を受賞。2017年から18年にかけて、第2版がZKM|現代美術館(ドイツ)にて展示されました。
Bell Fantasia (2012)
ドイツ・シュベービッシュ・グミュント市で1989年より開催されている南ドイツ最大のヨーロッパ教会音楽祭「第23回 European Church Music Festival」のセレモニーの為に新作委嘱を受けて制作。現地のフィールドワークを通じて、11の教会の鐘、ならびに町を象徴する音風景を録音し、6作品からなる20分の音響組曲を制作。2013年、フランス最大の電子音楽賞「QWARTZ MUSIC AWARD 9」の実験・研究部門にて最高賞を受賞。
Electric Guitar Experiment (2014- )
エレキギターと音響プログラムを使ったパフォーマンス。エアリアルな旋律による没入・瞑想型のコンサートプロジェクトと、特殊奏法によるノイズ音響のプロジェクトを展開しています。2016年、ブレーメン現代電子音楽組織「Rapid Ear Movement」から新作委嘱を受け、スイス実験音楽の大家Norbert Möslang氏との共作を初演。2015年の京都法然院で開催された個展においては、「Voice Landscape」と共にライブインスタレーションとして庭園に音響のスペクタクルを展開しました。2017年、ハンディーレコーダー1発取りによる、28分のノイズの即興「Internal Static」をリリース。
reflected moment- das bauhaus schachspiel (2019)
バウハウス生誕100周年記念事業による新作委嘱作品。 Josef Hartwigs(1880-1955)によりデザインされたバウハウスチェス(1925)を元に、ヘッドホンを使用したインタラクティブな立体音響体験と会場のサウンドデザインを現代的な音の観点から作り出します。欧州最大規模の近現代美術館、デザインミュージアム | ピナコテーク デア モデルネにて2019年2月8日から2022年10月30日まで常設展示中。
AR Sound Direction
2014年、原美術館で展示されたニコラ・ビュフ、LM3LABSとの共作であるマルチメディア作品「Locus terribilis」にてサウンドデザイン・ディレクションを担当。効果音制作において、録音素材の選出、録音作業、ならびにサウンドテクスチャー合成による一連の制作過程を作家自身が行い、また、インタラクティブな作品の時間軸を有機的に展開する5.1chサラウンドを含めた作曲を手がけました。
Resonant Garden (2018)
Resonant Gardenは、都市デザインに特化したサウンドインスタレーションです。 自然環境と静けさに共鳴する有機的な音と、人と音と空間の相互作用による相乗効果を統合した参加型の作品で、最終的には昼と夜で異なる音の景観や経験を生み出します。ポルトガルの大型フェスティバル「Noite Branca Braga 2018」にて受賞ならびに展示。
Link to Landscape Project (2017-)
人と環境を結ぶ持続可能な役割を備えるサウンドインスタレーション。ドイツ、ニーダーザクセン州科学文科省の芸術家事業にて実施。ブラウンシュバイク芸術大学の工房・ラボの協力により制作した、500x500mmx160mmのオブジェクトは、センサーにより感知・蓄積された設置環境の様々な情報が音響生成や時間構造にインタラクティブに作用します。
Plastic Recollections Series (2005- )
単一の物音の録音素材を扱い、発音物の持つ固有の特性・文脈を新たな音響の世界観へ変容・作曲するプロジェクトとして2005年よりスタートしました。 これまでにMD、コンクリートブロック、発泡スチロール、波、スネアドラムの音を用いた6作品を制作。
立体音響パフォーマンス
空間に設置された12-40個前後からなる複数のスピーカーとミキサーフェーダーのリアルタイム操作による立体的な音響空間ライブ。ARD Hörspieltagen 2017(ドイツ)、Akousma 12(カナダ)など各国の電子音響フェスティバルにて展開しています。
PHONO ALCHEMY (2003- )
録音した音や声を音韻的効果によってどのように統合ができるかという問題に取り組んでいます。音響と言葉、空間の音響運動とそこから生成されるイメージは、「現代詩」の文字配列の文脈において、文字間隔、断片化されたセグメント、文法の空間的バランスを想像するのと共通しています。あたかも音響が絶えず変身する音響・空間の連続的なイメージが、言葉やフレーズ、句読点、区間として出現するかのように、その変容で経験できる文学的で抽象的な感覚は、音響のテクスチャ(キャラクター)で韻律を構築することで、架空の言語や、フレーズを構成・展開します。
Reminiscence - 映像音響詩 (2007)
「目で見る音・耳で聞く映像・回想する空間」をコンセプトに、空間そのものを有機的な「生きた身体」と定義して、その記憶の回想による物語の推移を複合的な空間表現として展開。映像と音との間に有機的な関係を持たせることで、あたかも空間が一つの感覚器官として機能し、展示空間の中と外、また人間の内面という、感覚的でコトバにできない表象体験を追究。齋藤高晴氏(映像作家)との共作により制作し、2007年に仙台カフェモーッアルトにてライブインスタレーションとして初演。2010年、Te-pitoレコーズよりCD/DVD版がリリース。